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実験1〔探求活動〕 オオカナダモの葉の細胞
教科書p.21〜23 所要時間2時間
【指導目標】 中学校でも観察している場合が多いので,探究の過程を理解するこ
と,および光学顕微鏡使用の練習と熟達を目指す。単なる観察実験に終わることの
ないように,教科書 p.7〜12の序部を参照し,仮説の設定・推論・観察・結論など
生物学的に探究する方法を説明し,実験後は創意あるレポートを作成させる。
染色していない生きた植物細胞として葉緑体のあるオオカナダモを観察する。結
果は,仮説を支持するものとなった。この場合でも,さらに仮説を詳しく吟味する
必要がある。ほんとうに検証が十分であったかも考える。これらの実験を通じて,
細胞の形態や状態についての理解を得ることができる。
【準備】 オオカナダモの葉(他にクロモ,シャジクモなど。また,葉緑体は観察
できないが,ムラサキツユクサの雄しべの毛でも原形質流動は観察できる。)
顕微鏡,スライドガラス,カバーガラス,ピンセット,柄付き針,スポイト,ミク
ロメーター,ストップウオッチ,温度計。
【準備上の留意点】 オオカナダモの観察は,5〜10月頃が適当である。
【方法上の留意点】 (1) オオカナダモの葉は,茎についている葉柄の部分をピ
ンセットでつまみ,もぎとるようにしてとる。このときどちらが葉の表か裏かを
よく覚えておく。
(2) 水を1滴落とす理由は,試料が広がり観察しやすくなるのはもちろんのこと,
水の屈折率は空気よりもガラスに近いので,光の乱反射が少なくなるため。
(3) カバーガラスをかける際,慣れないうちはどうしても気泡が入る。柄付き針
とピンセットを使い慎重に行わせる。
(4) しぼりの操作は大切で,特に今回のように染色しない試料の場合は,こまめ
に調節することで検鏡しやすくなることを体感させるとよい。高倍率ではしぼり
を絞ることでコントラストが高まり,さらに反射鏡の角度を調節することで観察
しやすくなる。また,反射鏡は一般に,低倍率では平面鏡を,高倍率では凹面鏡
を用いるとよい。
(5) 高倍率で,葉の上側,中心,下側と詳しく観察する際は,顕微鏡に微動ネジ
がある場合はそれを使い,必ず試料と対物レンズを遠ざける方向でネジを操作す
ることを徹底させる。
【結果の整理】 (1) 実験後,観察結果をまとめたレポート(報告書)を作成する。
レポートには,スケッチ,実験データなどを記入する(教科書 p.23参照)。今回は
観察が主体であるので,スケッチを重視したいが,それ以外の気がついたことを
レポートにまとめる習慣が大切である。その際,もう一度1つ1つの実験操作の
意味を確認し,探究の方法などの理解を深めることも重要である。
(2) スケッチのしかたについては,教科書 p.22を参考にするとよいが,中学校の
教科書や他の資料などを調べることによって,考察を深めるとよいだろう。
(3) さらに考察を深めるには,実験をどのように発展させていったらよいかを,
結果を整理しながら考えるとよい。
【考察】 (1) 葉の一般的な細胞の他に,中肋(主脈)の細胞や葉の縁のとげの細胞
など特徴的な細胞が観察できる。また,気孔をつくる細胞(孔辺細胞)は観察でき
ない。
(2) 教科書p.23のオオカナダモの葉の断面(×200)の写真は上が葉の表,下が葉の裏
である。この写真からでも葉の表の細胞が大きく,裏の細胞が小さいことが確認
できる。
(3) オオカナダモの葉緑体は円盤状の構造をしている。また,アオミドロではらせ
ん構造で帯状の葉緑体をもつので,同時に観察してみるとおもしろい(下写真)。
葉緑体の上面(@),中間部(A),下面(B)にピントを合わせていくと,らせん構造
がうまく観察できる。

【発展】
(1) プレパラートを作成してすぐ後には,動きが見えにくい場合がある。その場は
観察までに少し時間をおくとよい(数十分かかることがある)。
(2) オオカナダモの葉の細胞では,細胞質が流動する現象(原形質流動)が確認できる。
特に中肋細胞は流動が最も活発であり,生徒実験に適している。染色しないふつう
の状態(生きた細胞)では,細胞内に動きがあると想像できる。葉緑体が細胞膜に沿
って回る周回(回転)運動が観察できる。

(3) 水の代わりに数%の酢酸水溶液を使うことによって,細胞が固定され死んだ
細胞の状態となり,原形質流動が認められなくなる(酢酸カーミン溶液でも可)。
(4) ミクロメーターの使い方は,教科書の後見返しを参考にするとよいが,この
写真の場合,接眼ミクロメーターの目盛りと写真における長さ(スケール)が表示
されているので次のように原形質流動の速さを計算できる。
写真より,接眼ミクロメーターの4目盛が約10μmに相当することがわかる。10
秒間に矢印で示した葉緑体は,約8目盛移動している。したがって,
となる。
(5) ミクロメーターを使って,原形質流動の速度を測定したデータ例としては,
27μm/秒(20℃)があるが,環境の影響を受けやすい。温度調節と一定時間以上の継
続観察が必要であるが,温水(約40℃)では,活発な流動が認められ,冷水(0℃)で
は,停止した状態を確認することができる。また,あらかじめ強光下においておく
とよく流動する場合がある。
(6) タマネギの表皮細胞を染色せず,ピントやしぼりで光量を調節することによっ
て,透明な核,細胞壁,液胞が観察できるとともに,原形質流動もみることが可
能である。ただし,これには顕微鏡操作に習熟が必要である。


