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〔探究活動〕2 調節卵の分割割球の発生
教科書p.90〜93 所要時間2時間
【指導目標】 本来なら,それぞれ体の半分を構成する運命にある2細胞期の割球を
分離して発生を続けさせると,それぞれの割球は細胞運命を転換して,ほぼ正常な個
体(プルテウス)を形成することを観察し,細胞運命の調節性を体験させる。
【準備】 ウニの雌雄・塩化アセチルコリン・人工海水・注射器・管ビン・時計皿・
ペトリ皿・ガラス棒・ガラス針・ピペット・スライドガラス・カバーガラス・顕微鏡・
ガスバーナー・石綿金網・加熱用三脚・寒天粉末
【準備上の留意点】 実験3を参照。
(1)
1.5gの寒天粉末を500ml広口三角フラスコに入った100mlのカルシウム欠如海水
に懸濁させ,ガスバーナーで加熱する。容量の小さな容器で加熱すると突沸するの
で注意。冷えて固まる前にペトリ皿に5mmくらいの厚さになるように注ぎ,室温で
静置して寒天溶液を固まらせる。
(2)
カルシウムと炭酸水素ナトリウムが高濃度の場合は,カルシウムと炭酸ナトリウ
ムが結合して沈殿するので,正常人工海水を作るときは,必ずほぼ目的の容量まで
希釈した塩溶液に,炭酸水素ナトリウム溶液を加えること。また,炭酸水素ナトリ
ウムの粉末を加えることも厳禁である。
【方法上の留意点】 (実験3を参照)
(1)
受精膜があると,割球の分離操作がむずかしいが,卵をp-アミノ安息香酸(1.4 g/l)
を含む海水中で受精させると,受精膜がやわらかくなり,針で簡単に割球を分離す
ることができる。
(2)
また,正常海水で卵を受精させ,受精後50秒後に,受精卵懸濁液の10倍量の氷
冷カルシウム・マグネシウム欠如海水(塩化マグネシウムと硫酸マグネシウムを含ま
ないCa欠如海水)を加えても,受精膜をやわらかくすることができる。受精膜の形
成が完了しては効果がない。一方,受精の成立にはカルシウムとマグネシウムが必
要なので,卵を一斉に受精させることと,カルシウム・マグネシウム欠如海水を加
えるタイミングが重要である。カルシウム・マグネシウム欠如状態は受精卵に悪影
響を与えるので,カルシウム・マグネシウム欠如海水を加えた後,2分以内に,受精
卵の懸濁液を等量の正常海水と混合する。卵を沈殿させて集め,正常海水に入れる。
(1)
ピペッティング(受精卵の懸濁液を駒込ピペットに吸い込み,押し出す)操作を繰
り返すと,受精膜を除去することができる。
(2)
Ca欠如海水で発生を続けさせ,2細胞になったところで,針で割球を分離して
もよいが,ピペッティングによって割球を解離させることもできる。実体顕微鏡下
で分離した割球を回収し,正常海水中で発生を続けさせる。
【結果の考察】
(1)
小型ではあるが,ほぼ正常なプルテウスが得られる。これは,細胞運命の転換が
起きている証拠であり,細胞運命の決定や転換には細胞間のコミュニケーションが
かかわることを理解させるとよい。また,ケイ藻などの餌を与えると,正常な成体
と同じ細胞数で,体の大きさも同じ成体になる。このことは,2細胞期の片方の割球
から生じた個体は,細胞分裂の回数が1回多いことを意味している。体を構成する
細胞数の決定にも,細胞間のコミュニケーションがかかわることを理解させるとよ
い。ヒトの一卵性双生児も半分の数の割球からつくられるが,正常な大きさの成体
になることを,生徒に思い起こさせると納得させやすい。
(2)
代表的な内胚葉(原腸),中胚葉(骨片),外胚葉(腕など)の組織を多数の胚について
観察させ,胚の全長や各組織の大きさなどから各組織の形成率を統計処理し,実験
胚と正常胚との差の有無を検討するとよい(図1)。
(3)
実験操作に慣れたら,4細胞期,8細胞期の分離割球についても実験し,結果の
違いを考察するとよい。4細胞期に割球を解離し,各割球を正常海水で発生させると,
非常に小型ではあるが,三胚葉が形成される。
(4)
8細胞期に割球を解離し,各割球を正常海水で発生させると,動物半球の割球か
らは外胚葉しか形成されないが,植物半球の割球からは三胚葉が形成される。4細胞
までは動植物軸に沿って卵割するので,どの割球も動物半球の細胞質と植物半球の
細胞質をもっている。4細胞から8細胞になるときには,赤道面で卵割が起こり,動
物極側の割球は動物半球の細胞質のみを,植物極側の割球は植物半球の細胞質のみ
をもつことになる。このことから,中胚葉と内胚葉を形成するには植物半球の細胞
質が必要であることがわかる。
(5)
さらに実験に慣れたら,16細胞期胚の割球をガラス針で取り分け,それぞれ,あ
るいは組み合わせて発生させるとよい。16細胞期には動物半球の割球は等割して8
個の中割球になり,植物半球の割球は不等割して最も植物極よりに4個の小割球,
小割球と中割球の間に4個の大割球が形成される。割球の大きさの違いで,動物半
球と植物半球を識別することができるので,胚を動物半球と植物半球に二分するこ
とができる。二分割なので,分割した胚は十分な細胞質量があり,細胞分化を明確
に観察することができる。
(6)
また,誘導の実験を行うには,4個の中割球と4個の小割球を組み合わせるとよ
い。小割球の内・中胚葉誘導能力により,中割球から内胚葉と筋肉などの中胚葉が
形成される(図2)。



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