第3節 細菌の光合成と化学合成
A 細菌の光合成
◆細菌による光合成
細菌はふつう光合成は行わないが,緑色硫黄細菌・紅色硫黄細菌などの細菌は光
合成を行う。この場合,光のエネルギーを用い,CO2を還元することは緑色植物と
共通な点であるが.還元剤としてH2Oは使わず,H2S,S,H2などを用いる点が異な
っている。したがって,O2の放出は見られない。なお,クロロフィルに類似したバ
クテリオクロロフィルとよばれる特殊な色素がそれに関係する。それらの反応は次
の式で示すことができる。
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CO2+2 H2 S |
光 → |
〔CH2O〕十H2O+2S |
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CO2+2 H2 |
光 → |
〔CH2O〕十H2O |
H2Sの発生する場所は特殊な環境で,一般的に生物の生育には適さない。その点
H2Oを用いる光合成は,生物にとって非常に有利であることが考えられる。
B 細菌の化学合成
◆化学合成
化学合成とは,光のエネルギーのかわりに,無機化合物の酸化で生じる化学エネ
ルギーを用いて,CO2から炭水化物を合成する炭酸同化の働きである。これは,ク
ロロフィルをもたない特殊な独立栄養細菌にみられ,化学合成細菌と総称されてい
る。主なものは下表の通りで,そのほか,水素酸化細菌,一酸化炭素細菌なども知
られている。

化学合成では,まず,化学反応によって生じる化学エネルギーが用いられて,ATP
とNADPH+H +がつくられる。次に,これらとCO2とから炭水化物がつくられるの
である。教科書(図34)では,そのことを明確に示した。そのため,亜硝酸菌の化学
式は,窒素源として上表のように一般に使われているアンモニア(NH3)ではなく,正
しく理解できるようにアンモニウムイオン(NH4+)を用いた。
生徒はとかく,エネルギーを発生させる反応そのものが化学合成であるように誤
解しがちなので,反応式については,光合成と異なる点・共通する点に指導のポイ
ントをおき,教科書(図34)を活用するとよい。

