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D 遷移元素とその化合物
遷移元素
►遷移元素の性質
第4周期の遷移元素の性質を下表に示した。遷移元素の融点が高く硬いのは,d軌
道電子を含む多数の電子が金属結合に参加するためと考えられる。
遷移元素はまた,いくつかの酸化数を示すものが多い。これは,結合に関係する
電子のすべてが,常に使われるわけではないからである。マンガンを例にとれば,
最高7個の電子が結合に関与するが,実際には2〜6個が使われることもあり,
+2〜+7の酸化数を示す。
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第4周期遷移元素の性質 |
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元素 |
Ca |
Sc |
Ti |
V |
Cr |
Mn |
Fe |
Co |
Ni |
Cu |
Zn |
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融点〔℃〕 |
839 |
1541 |
1660 |
1890 |
1857 |
1244 |
1535 |
1495 |
1453 |
1083 |
420 |
|
沸点〔℃〕 |
1484 |
2830 |
3290 |
3380 |
2670 |
1962 |
2750 |
2870 |
2910 |
2570 |
907 |
|
密度〔g/cm3〕 |
1.55 |
2.99 |
4.50 |
6.11 |
7.19 |
7.44 |
7.87 |
8.9 |
8.91 |
8.96 |
7.13 |
|
原子半径〔Å〕 |
1.97 |
1.63 |
1.45 |
1.31 |
1.25 |
1.12 |
1.24 |
1.25 |
1.25 |
1.28 |
1.33 |
|
M2+半径〔Å〕 |
1.14 |
--- |
1.00 |
0.93 |
0.87 |
0.81 |
0.75 |
0.79 |
0.83 |
0.87 |
0.88 |
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結晶構造* |
面立 |
六最 |
六最 |
体立 |
体立 |
立方 |
体立 |
六最 |
面立 |
面立 |
六最 |
|
電気陰性度 |
1.0 |
1.3 |
1.5 |
1.6 |
1.6 |
1.5 |
1.8 |
1.8 |
1.8 |
1.9 |
1.6 |
|
標準電極電位 |
−2.8 |
−2.0 |
−1.6 |
−1.1 |
−0.9 |
−1.2 |
−0.4 |
−0.3 |
−0.3 |
0.3 |
−0.8 |
|
主な酸化数 |
2 |
3 |
2〜4 |
2〜5 |
2〜6 |
2〜7 |
2〜4, |
1〜4 |
1〜4 |
1〜3 |
2 |
|
*面立は面心立方構造,六最は六方最密構造,体立は体心立方構造 |
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►遷移元素の特色
これまで触れたことを含めて特色をまとめると,次のようになる。
(1) 周期表の第4周期以後に位置し,3〜11族に属する。
(2) 原子の電子配置は,原子番号の増加につれて,最外殻ではなく内殻のd軌道,
f軌道に電子が満たされていく。
(3) 一般に密度が大きく,Scを除き重金属である。融点・沸点も高く,融解熱も
大きい。比較的硬い。
(4) 有色の化合物が多い。
(5) 単体のイオン化傾向は比較的小さく,また反応性も小さい。
(6) 同一元素で,いくつかの酸化数をもつものが多い。
(7) 錯イオンをつくる。
鉄
►鉄
鉄,コバルト,ニッケルの3元素は,よく似ている。単体は強磁性体で,細かい
粉末は水素を吸着する。酸では,2価の陽イオンになり,錯イオンをつくりやすい。
鉄は2価,3価とも安定だが,2価のものは3価に移りやすい。コバルトとニッケル
は,単塩では2価が安定であるが,錯塩では3価が安定となる。
鉄の単体は,鉄の塩類を電解するか,または純粋な酸化鉄(III)Fe2O3,シュウ酸鉄
(II)FeC2O4を水素気流中で熱すると純鉄が得られる。赤熱した鉄は,水蒸気を分解し
て水素を生じる。
3Fe+4H2O→Fe3O4+H2
鉄は塩酸,硫酸に溶けるが,濃硝酸には不動態を生じ溶けない。この不動態になっ
た鉄片を硫酸銅溶液中に入れてもその表面に銅が析出しない。鉄は乾いた空気には侵
されないが,水分と二酸化炭素を含む空気中では速やかに酸化される。
►鉄の化合物
酸化鉄(III) a 型とg 型があり,aとして天然に赤鉄鉱がある。硝酸塩,シュウ
酸塩,水酸化物などを空気中で焼くとa型が,四酸化三鉄を穏やかに酸化すると
g 型が得られる。色は製法及び処理によって黄赤,赤褐,紫などと変わるが,一
般には赤色である。g 型は600℃でa 型に変わる。密度は製法によって異なり,
5.1〜5.2g/cm3,硬度は5.5〜6.5である。
強熱すると分解して酸素を放出する。熱すれば水素,一酸化炭素などで還元され
る。酸にはしだいに溶け,鉄(III)塩を生じるが,一度強熱したものは溶けにくい。
この化合物はべんがらともよばれ,研磨剤,赤色顔料,鉄製造原料になる。
硫酸鉄(II) 7分子の水和水をもち,緑バンともいわれる。空気中に長く放置す
ると風解し,また酸化されて黄褐色になる。熱すれば,80℃で5分子,100℃で6
分子,300℃で全部の水和水を失い,白色の無水物になる。水溶液はほぼ中性であ
るが,空気で酸化され塩基性硫酸鉄(III)の黄褐色沈殿を生ずる。実験室で使う鉄(II)
塩で,還元剤などの代表例である。
塩化鉄(III) 黄褐色の潮解性結晶である。融点306℃だが,315℃で分解する。
Fe3+は水溶液中では[Fe(H2O)6]3+であるが,FeCl3を沸騰水に溶かすと赤褐色の溶
液を生じる。これは加水分解のため,Fe(OH)3・nH2Oのコロイドができるためである。
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鉄の化合物 |
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化学式 |
色 |
融点〔℃〕 |
水溶性 |
備 考 |
FeO |
黒 |
1370
|
不 |
|
|
Fe2O3 |
赤褐〜黒 |
1565
|
不 |
赤鉄鉱
|
|
Fe3O4 |
黒 |
1538
| ||